【1009号】保護者の皆様より

保護者様のコメント

いつもお世話になっております。

そろばんだよりで生徒さん達の活躍を拝見し、今後の励みにしています。

質問させて下さい。

学校の計算問題を解く時にも、なるべく暗算をするようにしているのですが、暗算をする時は指だけは動かすものなのでしょうか? それとも頭の中のそろばんだけを動かして指は動かさない方がよいのでしょうか?

 

先生からのメッセージ

暗算についての質問ですが、まずそろばんの計算の特長を説明させていただきます。

そろばんの計算は、数字を珠に置きかえて計算しています。そこが筆算との大きな違いです。筆算ではあくまで数字は数字のままで計算します。

数を珠に置きかえるそろばんの計算では、初めのうち、いろいろ理屈を考えて珠を動かしているはずです。「たせない9は1をとって10にくり上がる」「たす4は5を入れて(多すぎた)1をとる」「ひけない8は10をとって(のこりの)2を入れる」などのように…。その動かし方を覚えることが初歩の大切なトレーニングになります。中・高学年の生徒や公文を習っている生徒がそろばんを習いに来ると、簡単な問題では珠を動かす前に答えが出てしまい、そろばんを使わずに答えを書いている姿をよく見かけます。生徒からすれば、正しい答えが書けるのだから「何がいけないの?」と感じているはずです。でもそれでは、そろばんの珠の動かし方は覚えられず、計算が速く正しくなる上で、すぐに限界がきます。ちゃんと動かし方を覚えていけば、だんだんと理屈が頭から抜け自然に指が動くようになり、計算が驚くほど速く正確なものへと進化していきます。その過程で、頭の中にそろばん珠のイメージを浮かべることもできるようになり、それが珠算式(イメージ)暗算へとつながります。初歩の段階で「そろばんを使わない方が楽だから…」と筆算式に答えを出してきた生徒は、イメージ暗算ができません。数字の組み合わせで筆算式の暗算はできるかもしれませんが、スピードが全然違います。また大きな桁の計算ができるようにもなりません。フラッシュ暗算で2桁になったとたん進級が止まったり苦労したりしている生徒は、どこかでイメージ暗算をさぼって筆算式に答えを出していたことがあるはずです。

頭の中でイメージしたそろばん珠が自由に動かせるようになると、かけ算やわり算もそろばんを使った計算と同じようにできます。学院ではより効率的に暗算が身につけられるよう、そろばんを使った計算のやり方と暗算で計算する方法をはじめから同じにしています。普通のそろばん教室では、そろばんを使ったかけ算・わり算と暗算で計算するかけ暗算・わり暗算の方法を分けているので、どこかの段階で改めて暗算の計算方法を学ぶ必要が出てきます。その時間的なロスがもったいないと感じ、学院では開塾当初からそろばんと暗算の計算方法を同じにしています。

ではなぜ、多くの教室ではそろばんと暗算の計算方法を使い分けているかと言えば、暗算のやり方を初めからそろばんで教えることが難しいからです。でも実は難しいと思っているのは指導者の方で、ちゃんと指導法を身につければ、決して難しくはありません。習う方にとっても決して大きな負担にはなりません。私は指導者講習会の講師を務めることがよくありますが、珠算指導者を前に、いつもそのことを強調しています。その結果、研究熱心な先生方はどんどん指導法を変えています。いまでは連盟に所属している教室の半分近くが、そろばんと暗算の計算方法を同じにしているようです。そろばんを習う最大の効果は、そろばんがなくても計算ができるようになることです。それがたし算ひき算だけでなく、かけ算やわり算もできるようになれば一生の宝となります。

さて前置きが大変に長くなりました。

質問の答えですが、暗算をするときに指を動かすかどうかは、実はあまり重要なことではありません。指を動かすのは、頭の中のイメージをよりはっきりさせるための補助動作です。指を動かした方が、頭の中のそろばん珠がよりはっきり浮かぶのです。指を動かさなくても珠が浮かぶようになると計算速度がより速くなります。暗算の達人は、連続した問題を解く時に、答えを記入しながら次の問題を見て計算を始めています。指を動かさなくても頭の中のイメージが動かせるのでできるすご技の1つです。その結果、まるで答えを覚えているかのように、止まらずに答えを書き続けています。ちょうど先週の日曜日に「第二十二代珠算名人位決定戦」が行われました。日本珠算連盟のホームページでその動画を観ることができますが、そこに登場する土屋宏明名人をはじめ多くの一流選手は、ほぼ答えを書きっ放しの状態です。ぜひ一度ご覧になってください。

さて質問とは少し離れますが、学校で習う筆算も実はとても大切で、珠算式暗算ができれば学ばなくていいというものではありません。筆算のやり方もぜひきちんと身につけてください。特にかけ算やわり算は必要です。珠算式暗算ではできないような大きな桁の計算をするときに筆算を知らないと困ることがあります。理想は、算数・数学では筆算で計算し珠算式暗算で検算をすることです。その習慣が身につくと鬼に金棒です。計算ミスが本当に少なくなります。せっかくイメージ暗算を身に付けているのですから、ぜひそれを有効に活用してほしいものです。

保護者様のコメント

いつもご指導ありがとうございます。そして、そろばんだよりの発行1000号おめでとうございます。先生がいつもおっしゃっていますが、こうした継続力も、珠算を通じて身に付けられるものと思います。授業だけでなく、このような形で示していただいたことで、子どもたちも良い刺激を受けたのではないでしょうか。そろばんだよりは連絡事項だけでなく、他の生徒さんの頑張りや大会の状況などを知る貴重なものですが、こうした点でも示唆に富んだものだと実感しました。

最後になりましたが、今年も夏休みの集中的なご指導、本当にありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

先生からのメッセージ

「そろばんだより1000号」を通して、生徒たちに何か少しでも刺激を与えることができていたら、それはうれしいことですね。なかなか自分では気づかない点までご指摘いただき感謝しています。

確かに私自身は、そろばんを通してさまざまな能力を身につけてきました。計算力はもちろんですが、脳のはたらきをよくすることで記憶力や観察力、処理能力そして集中力などを伸ばすことができました。また練習を根気よく続ける必要があるので、粘り強さや忍耐力も当然、身につきます。その力が勉強やスポーツ、その他の何をやる上でも大きな支えになります。精神的な強さも生かせます。1つのことを長く続けるというのは、人間にとって本当に大きな力と自信を生むものだと改めて感じています。

保護者様のコメント

加山先生、夏休みのスタンプラリー、お疲れ様でした。

いつもご指導ありがとうございます。

娘も小6、そろばんを始めて6年です。マイペースで続けている娘を見ていると、競う事が好きな長男とは全く違い、子供の性格も色々だなと思います。とにかく上へ上へというより、長く好きな物を続けて行ければ良いなと、継続は力なりを信じて今後も先生にも見守って頂ければと思います。

 

先生からのメッセージ

N子さんが6年間にコツコツと積み上げてきたものは大きな花を咲かせています。確かに性格がのんびりしていて、競うことはあまり好きでないように見えます。そろばんの上達には不向きな面があるかもしれません。やはり負けず嫌いだったり、競争することが好きだったりする方が勢いよく伸びる可能性は高いです。でも人との比較ではなく自分の中の価値観や尺度でやりがいを感じたり、伸びていることを実感できたりしているのであればまったく問題ありません。きっとN子さんはそういうタイプです。いつも楽しそうにそろばんの練習をしている姿を見て、私はそのことを確信しています。

10月の日商検定で2級に合格し、いよいよ次は1級を目指します。ハードルは高いですが、これからも地道な努力を続けて、気がついたら合格する力が付いていた…そんな姿を想像しています。

保護者様のコメント

いつもお世話になっております。

毎年のスタンプラリーを休まずに行っていただき、本当に感謝しております。

『そろばんだより』も1000回を迎え、先生の努力の賜物だと思います。毎回、大会や教室の事なども掲載して頂き、大変有難いです。これからも親がなかなか知り得ない情報を掲載していただけると嬉しいです。

 

先生からのメッセージ

今年もスタンプラリーでたくさんのスタンプを集めたS子さん。検定試験や競技会でその成果が実って…という状況にはまだなっていませんが、実力がアップしているのは間違いありません。好成績まであとひと息です。何が何でも…という心の強さを出せるようになると結果がついてくるような気がしています。これからも練習を楽しんでくれたらと願っています。